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―青リンググループ―
「なあ。クリスって木とか浮かせられる?」
オールの計画を聞いたあと、帝司が言った。
「え、ええ。木一本ぐらいなら浮かせられるようになったわ」
「わかった。じゃあ俺達はこうしよう」
クリスと短く話し合った。
「わかったわ。じゃあ未来ちゃん。未来透視よろしく」
未来の透視により各配置を決めた。
あとは時間を待つだけだ。
向こうの力からして失敗は許されない。
―赤リンググループ―
「そういやキャノンの能力ってどれだけ強くなったんだ?致命傷は与えられるのか?」
ムーヴが思い出したように聞いた。
「ああ。空気弾ならずいぶん貫通するようになったよ。人間の体ぐらいなら貫通すると思う。爆発は危ないから練習してないけど、新たに足技ができたよ。みんなにはまだ言ってなかったっけ?」
「知らないな。実践で足技を見せてくれよ」
「わかったよー」
力の抜けそうな返答だ。
「あ、あの木なんていいんじゃないか?」
ヒートが一本の高い木を見つけた。
その直後、小さな物音がした。
赤リンググループも相手の位置を把握できたようだ。
長い草で視界が悪い。
ヒートは慎重に木へ向かう。
シャロンは後ろに下がる。
キャノンはその場で相手の様子を見る。
ムーヴは太い木の棒を見つけ、ヒートが向かった木と反対側について挟み撃ち状態にする。
おそらく相手は赤リンググループの動きをわかりきっていないはずだ。
青リンググループも赤リンググループも、味方ではないが仲間には変わりないので、気絶した状態で致命傷を負わしたい。
致命傷の痛みは体験することになるのかはわからなかったが、みんなそれだけは暗黙の了解として心がけた。
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