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ダンッ!!!
銃声に近い音が響く。
しかし帝司は動かない。
「あ、あれ?何で効かないの?」
キャノンは焦っている。
なぜ空気弾が通用しないんだ?
「そうくると思ったよ。キャノンさん」
帝司がニヤッと笑いを浮かべながら言う。
「空気を止めたんだ。茂みから出てきた瞬間にね」
「なんてやつだ……。そんな短時間にこれまでのことをやるとは……。まさに一瞬の違いなのに……」
空気弾に絶対的な自信を持っていたキャノンは、まさか防がれるとは思わずただ呆然と立っている。
「あ、そろそろあなたも終わりですね」
キャノンはさっきヒートに起こったことを見ていたので、はっと上を見上げる。
丁度、木が真上にきたところだった。
ヒートを消し去った木が、クリスによって高い空中を移動してきたのだ。
木が落ちてくる。
キャノンは腕を振った。
空中で爆発が起こる。
周りに木の破片や埃が飛び散る。
「くっ、前がよく見えない…………うっ…」
帝司の肩に何かが当たった。
空気弾だ。
貫通こそしてはいないが、動けるような状態ではない。
「上手く当たらなかったか!じゃあこれだ!」
キャノンの声とともに、帝司のいたところで爆発が起こった。
爆発の埃や煙がおさまった。
そこに帝司の姿はなかった。
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