バーチャル大戦

10/16
前へ
/164ページ
次へ
―青リンググループ― 「なあ。キャノンさんの弱点ってわかるか?」 オールがいきなり聞いた。 「え?あの空気弾と爆発人間に弱点なんてあるの?」 未来が驚いて言う。 「いや、あるのかなあって思ってさ。あれ?何だこれ」 足下に何かが落ちている。 オールがしゃがんで取ったものは拳銃だった。 「何だ?第一回の戦いが済んだから武器でもくれたのか?武器がある方が素早く終わるし、実践向きだもんな。バーチャル君も優しいんだなあ」 オールが皮肉を込めて言う。 「それ……どうするの?」 スティルが聞いた。 「慣れない物は使うべきではない。そうだ!ちょっと危険だが、より実際に近い戦いをしないか?どうせバーチャルの世界だ。せっかくなら、できる限りためになる戦いをしようじゃないか」 みんなはより自分のためになる戦いに同意してくれた。 再びオールの周りに集まる。 実際は死ぬんだ。 せっかくなら今、死の恐怖を浅めに体験してみよう。 みんながそう思った。 ―赤リンググループ― 「ヒートさんは見たけど、ムーヴさんはどうなったんだろう……」 サントがか細い声で言う。 「さあな。でも勝つしかないんだ。さっきは相手の作戦の方が良かった。ぼくたちももう一度考え直そう」 ムーヴがいない今、キャノンがその場をまとめる。 「相手にオールがいる。まだ気付いていないかもしれないが、もうそろそろぼくの弱点に気付いくはずだ」 「キャノンさんにも弱点があったんですか?」 サントがびっくりした顔で言う。 「うん。弱点があるじゃなくて正確にはあった、だな。このトレーニング期間で弱点を克服したんだ」 まあ次に戦うときのお楽しみ、と言うとサントとシャロンは今教えてくださいよ、というような顔をした。 弱点を知ると、いくら克服しても心配するはずだ。 何せ実践が初めてだからな。 そんな理由でキャノンは教えなかった。 再び歩き始めようかというとき、シャロンの足下に何かが飛んできた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1113人が本棚に入れています
本棚に追加