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―青リンググループ―
「なあ。キャノンさんの弱点ってわかるか?」
オールがいきなり聞いた。
「え?あの空気弾と爆発人間に弱点なんてあるの?」
未来が驚いて言う。
「いや、あるのかなあって思ってさ。あれ?何だこれ」
足下に何かが落ちている。
オールがしゃがんで取ったものは拳銃だった。
「何だ?第一回の戦いが済んだから武器でもくれたのか?武器がある方が素早く終わるし、実践向きだもんな。バーチャル君も優しいんだなあ」
オールが皮肉を込めて言う。
「それ……どうするの?」
スティルが聞いた。
「慣れない物は使うべきではない。そうだ!ちょっと危険だが、より実際に近い戦いをしないか?どうせバーチャルの世界だ。せっかくなら、できる限りためになる戦いをしようじゃないか」
みんなはより自分のためになる戦いに同意してくれた。
再びオールの周りに集まる。
実際は死ぬんだ。
せっかくなら今、死の恐怖を浅めに体験してみよう。
みんながそう思った。
―赤リンググループ―
「ヒートさんは見たけど、ムーヴさんはどうなったんだろう……」
サントがか細い声で言う。
「さあな。でも勝つしかないんだ。さっきは相手の作戦の方が良かった。ぼくたちももう一度考え直そう」
ムーヴがいない今、キャノンがその場をまとめる。
「相手にオールがいる。まだ気付いていないかもしれないが、もうそろそろぼくの弱点に気付いくはずだ」
「キャノンさんにも弱点があったんですか?」
サントがびっくりした顔で言う。
「うん。弱点があるじゃなくて正確にはあった、だな。このトレーニング期間で弱点を克服したんだ」
まあ次に戦うときのお楽しみ、と言うとサントとシャロンは今教えてくださいよ、というような顔をした。
弱点を知ると、いくら克服しても心配するはずだ。
何せ実践が初めてだからな。
そんな理由でキャノンは教えなかった。
再び歩き始めようかというとき、シャロンの足下に何かが飛んできた。
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