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ドサッ!
オールは激しく地面に叩きつけられた。
「な……何をしたんだ?なぜ接近戦が……」
オールに痛みと驚きが襲いかかる。
「足技その一、超速蹴り。これは左足だ。じゃあ次は足技その二を見せるよ。その二は右足だよ」
キャノンは足を見せながら言う。
右足を後ろに高々と上げる。
それはサッカーボールを蹴ろうとしているようにも見えた。
「足技その二!電気玉!」
キャノンの叫びとともに、右足に変化が起きる。
キャノンの右足は電流が飛び散り、足の先に電気と思われる玉ができた。
そのまま右足を振り下ろす。
サッカーボールを蹴るように、電気玉は飛んでいった。
「だめだ……足をくじいた。動けない」
オールは敗北を覚悟した。
しかし、いつまでたっても電気玉は来ない。
ふと顔を上げると、そこには帝司が立っていた。
いつの間にか後ろにスティルまでいる。
くじいた足を治してくれた。
攻めるチャンスだ。
そう思ったときだった。
バンッ!!!
空気弾とは違う銃声が鳴り響いた。
「つ……」
同時にスティルがうめき声を上げてしゃがみこんだ。
銃弾は綺麗に心臓付近を撃ち抜かれていた。
「わ……私はもうだめ。心臓をやられたからには、いくら私の治癒能力でも無理だわ。あとは頑張ってね。…………それより、こんな腕利きのスナイパーなんていたかしら?」
それだけ言うと、スティルはバーチャルの世界から消えた。
オールにスティルを守れなかった責任がずしりとのしかかる。
また一発の銃弾が撃ち込まれた。
今度は帝司に当たった。
急所は外れたものの、集中が切れたので電気玉が直撃した。
「うわああああ!!!」
電気玉の威力を思いしらされた。
叫び声を残し、一瞬にして消えた。
「くそっ!」
オールは勢いよく振り向いた。
明らかに形成不利だ。
振り向くと、銃を片手にシャロンが立っていた。
「いつからそんなスナイパーになったんだ?」
オールが冷静を装って聞く。
「ラングさんに言われてね。あなたの仲間はキャノンさんによってすでに消えたわよ。たまたま銃があたしのところに飛んできて、ラッキーだったわ」
冷静を装い切れなくなったオールは、感情に任せて体を動かした。
《赤リンググループ残り四人、シャロン、キャノン、サントは普通、ムーヴはまだ気絶状態》
《青リンググループ残り一人、オールは普通》
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