序章其の五・―ストブラック やけに冷静な一匹狼―

2/22
270人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
 数十分後、青児の言う洞窟の入り口に辿り着いた一行は、見慣れない光景に言葉を失っていた。  明らかにここ最近の内に作り出せたとは思えない最新の設備が、入り口の方まで見え隠れしている。  物凄く怪しいその洞窟に、ここまで無言で緑子を抱えながら先導してきた青児が呟いた。 「怪しいですね」  その一言でより一層怪しく見える建造物の中に入らなければ、司令部に辿り着けないのは分かりきっているが。  どうしても赤崎達にはその一歩を踏み出す勇気が持てなかった。  そんな中、マイペースに事を運ぼうとする者が一人、あからさまに怪しい物体を前にしても呑気な顔をして言ったのだ。
/364ページ

最初のコメントを投稿しよう!