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♦蓮Side♦
今まで一般人で俺に普通に接してきた奴はあんまりいなかった。
俺が“橘組”だって知って離、れていった奴はいっぱいいるからな。
だから、正直言ってコイツには驚いた。
俺が怖くないのか?と聞いたら「全然」と即答しやがったからだ。
多分、俺のことを馬鹿にしてる訳でもねぇ。
…なんかわかんねェけど笑いがこみ上げてきやがった。
俺は真中の胸座をつかんでいた子分の腕を強くつかんだ。
「………橘さん?」
子分は、不思議な顔っつーか不安気な顔をしながら、俺の顔を伺った。
「離してやれ」
「ぇ…なんで」
子分は納得いかない顔をしていたけど、
俺は尚も続けた。
「だってコイツ、
なんか面白ろそうだ」
俺がそう言うと、真中は初めて驚いた表情を見せた。
「……面白そーって…なんかビミョー」
そう言いながらも真中は少しだけ口の端を上げた。
「よろしくな。夏生!」
俺はそう言って真中の肩に軽くパンチした。
「…おう、よろしく」
でも俺は気づいてなかった。
夏生の方を睨みながら、拳を握っている子分達存在を。
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