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我が家にて親と別れて三時間。
着きました。
『竜凰学園寮』
…なんかとても豪華な外装である。
都会にある高層マンション顔負けだ。
これは学費高いんだろうな…娘を男装させてまで通わせようとしている真知子さんの気持ちがちょっとだけ解らなくもない、と思った。
ピンポーン
私がインターホンを鳴らすと、中から眼鏡をかけた知的な青年が出てきた。
「いらっしゃい。君が真中夏生君だよね?」
そう言って彼は穏やかに笑った。
…なんだ、結構良い人そう。
「君、可愛いね。他の寮生に襲われないよーに気をつけてね」
「はあ…」
前言撤回。適当に相槌を打っておいた。
「あっ、申し遅れました。僕は竜凰学園一年数学担当兼寮長の未波裕隆(ミナミユタカ)です」
「…ああ、こちらこそよろしくお願いします」
「教師が寮長だってこと不思議に思わないんだね」
未波先生が軽く驚いたように言った。
「いや、別に」
「…そうか。まあ一応説明しとくけど、ただ単に寮内での喧嘩防止の為なんだ」
「へぇ…」
「……まあ、立ち話もなんだし早速君の部屋を案内するよ」
「あ、はい。お願いします」
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