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♦裕隆Side♦
真中夏生か……
…こいつ、絶対目ぇつけられるな。
外見もそうだが、この無関心さが致命的だ。
何か面倒事起こされたら、俺が責任とらなくちゃいけねぇんだし、勘弁して欲しいぜ。
…でも、……似てるな。
「…何か………?」
俺が横目で真中を見ていたら、そう言われた。
「…いや、知ってる子に少し似ているな~、と思ってさ」
「へえ………」
別にどうでも良いのか、また関心無さげにそう言った。
ん………?
「そういや名前も似てるな。その子、千夏って言うんだ」
─っと、なに言ってんだ俺。
こんなこと真中に言っても適当に相槌されるだけなのに。
「………………………へえ。似てますね」
今の間はなんだ?
─…まぁいいか。今回は珍しく「へえ」だけじゃなし、少し進歩か。
「案外知り合いだったりしてね」
「………いや、千夏ってゆー知り合いはいませんけど」
「……そっかー、そうだよねぇ」
内心ちょっとガッカリした。
もう一度あの子に会えるかもしれない、って期待しちゃったわ。
「あ、着いたよ。ここが夏生君の部屋だよ」
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