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雨はない――。
コニャックはぬるい匂いを放ちながら、グラスの中で眠るようにおとなしく、その姿を横たえていた。
土曜日にはバスが来るが人生への期待感なんてものは、ひとつもなかった。
マーロン・ブランドの出演映画を諳んじながら、傾く月を眺めてる。
君は云う――。
「人生は正にしろ、負にしろ財産を作り上げている」
また君は云う――。
「人生の躍動はテーマになくアドリブにこそある」
面白いことを言う。
風にそれらを問いかければ、世の中は応えてくれるだろうか?
コニャックは…。
コニャックはぬるい匂いを放ちながら、グラスの中で眠るようにおとなしく、その姿を横たえている。
酔えない夜である。
完
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