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浦郷村は高い山と海にぐるりと囲まれ太平洋に面した小さな入江と二つの島からなる、
谷から谷へと渡る田舎の細いくねくね道だけが交通手段の昔からの小さな小さな漁村で言ってみれば陸の孤島というわけ。
定期のバスもないんだって。
それでも夏になると近隣の町から入江には海水浴客が外海にはサーファー好みのいい波があって集まってくる穴場なんだと親から聞いていた。
コンビニなんて勿論無いんだって。
小さい頃には毎年の様に親にせがんで連れて来てもらってたんだけれど最近はまったく来ていなかった事を思い出す。
―母さん塾に行けってうるさいし―
車窓の外に流れていく木々から零れて覗く海。海。海が。
風に乗って鼻を擽る潮の香りが。
―もうすぐ懐かしい浦郷村に付く事を知らせていた―
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