襟足

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ただ、何も言えなくて。 何も出来なくて。 黒板を見るふりをしながら、 彼女の襟足を見つめて、胸を痛めることしか出来なかった。 そんな俺の視線を、隣の春香だけが気付いていたことも分からずに。 夏休みが近くなった頃、 「お前ら、登山したことあるか?」 担任の佐々木先生が、暑苦しい顔で朝イチ唐突に言った。
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