初恋

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ある日、消しゴムを忘れた。 「ごめん、消しゴム貸して」 あたしの席は一番窓側で、左隣は窓ガラス、右隣が悠哉の席だった。 「二個あるから、一個やるよ」 悠哉はそう言って、筆入れをゴソゴソと探り、使いかけの消しゴムをあたしに差し出した。 「ありがとう」 受け取った、その瞬間だった。 伸びた彼の指先が、あたしの掌に触れた。
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