炎の月

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炎の月 九日 今日、錬金術士のメンデルに呼ばれた メンデルは傭兵隊の中でも、四帝と言われている実力者の一人で、知謀のメンデルと言って、容姿端麗で頭もよく弓術も優れていて非常にモテる そんな奴がオレに用とは……… ま、元々メンデルとは仲がよかったからだろうな 何やら新薬が完成したらしく、オレに手伝って欲しいと言う なんだかモルモット感がするのだが、ま、いいか 部屋に着き、ノックをすると中から年若い男の声が返事をした 「来たか、入って来い」 扉を開けると、中からなんとも形容しがたい臭いが漂ってくる 「相っ変わらず苦手なんだよなぁ~、この臭いさぁ………」 「仕方ねぇだろ……助手がいないんだから………」 そこらにゴミは散らばり、とても人間が住めそうな場所ではないここで、果たしてどんな薬が誕生するのだろうか 少なくとも衛生的な問題はあるだろう 「………やっと腹痛が治まったっていうのに……」 コカトリスの肉にあたって、下痢に苛まれ続け、ようやく治まってきたってのに…… なんだか涙が出てくる……… すると、オレの気持ちに答えるかのようにメンデルは言った 「大丈夫だ。新薬はこことは別の場所で製作しているから」 「ホントか? なら大丈夫かな」 ま、考えても仕方がない オレはメンデルから手渡された薬を一気に飲んだ 「意外にうめぇ………」 新薬の感想…イチゴ味だった 「お前はガキか……」 「うるさい!」 ………あれ? そういや大事な事を聞くのを忘れた 「オレが飲んだ薬って、何なんだ?」 すると、メンデルはニヤッと笑って 「下剤だが?」 と答えた その後、食事の用意が出来た事をメンデルに伝えに言ったシャガールは、ボロ雑巾のようになったメンデルを部屋で発見していたらしい ちなみに、オレは泣きながらトイレで力んでいた
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