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#1 かって?
「―――~―――」
「?」
夜、雨音の中何か聞こえた。
「―――誰か―――」
(誰…か?)
まだ10歳くらいの少年だった。黒く長い髪は腰まであった。瞳はブルー 服の所々は破れていた。
(まるで黒猫みてぇ…)
俺はそう思った。 少年は俺に気付いたらしく 俺を睨みながらこう言った。
「僕を かって?」
(買って?それとも飼って?)
「お願い。僕をかってっ!」
少年は俺の服を握りながら 怒鳴った。
(買ってか飼ってかは分からないが、どっちにしろ同じ事だし…)
「良いよ…君をかってあげる」
俺は少年の手を握りしめながら言った。
「…本当?」
少年は今にも泣きそうな顔で俺を見上げた。
「本当。でも俺は泣く子は嫌いだよ?」
俺はニコッとした顔で少年に言った。
少年はビクッと肩を上げ急いで涙を腕で拭きながら言った。
「僕は泣かない…泣いたら捨てていい。」
少年は身体を震わせながら言った。
「冗談だよ。ほら、おいで?」
俺は少年の手をとって車に乗せた。
この子の様子を見た限り酷い目があったのだろう…。
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