第1章:誘拐事件

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もうすぐ、時計の針は9時を迎えようとしていた。 壮介はあるレストランの前で人を待っていた。 「壮介! 」 声がした方へと振り向くと、彼女が小走りに駆け寄ってくるところだった。 「亜弥、意外と早かったんだな」 遠野亜弥、もう付き合って3年になる。 「壮介こそ、遅れてくるもんだと思ってた」 「バカいえ、大事な話があるって言っただろ。そのために事件を死に物狂いで解決してきたんだから」 「あはは、さすがエリート」 「茶化すなよ。それより、レストラン予約してあるから早く入るぞ」 そこのレストランはなんだか高級そうで、敷居が高いような気がした。 「ねぇ、大丈夫?なんだか高そうだけど。てか、私こんな服装で来て場違いな気がするし…」 「はは、気にすんな」 ボーイに案内され、席に着いた。 亜弥はメニューと睨めっこをしていた。 「どうしたん?」 「ん~、みんな高いなぁ」 「言ったろ、今日は気にすんなって。全部俺のおごりなんだから」 「でもでも、なんか気がひけるっていうか…こんな高い料理食べたことないし…」 「俺だって、食べたことないよ。まぁ、今日は特別だ」 「そう?ん~、じゃあこれ…」 メニュー表を壮介に見せ指さした。 「おっけ、じゃああとこれとこれ…それとこれもらえる?」 壮介はメニューを指差しながら、注文した。 「かしこまりました」 そう言うと、ボーイは下がって行った。
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