《お別れのウタ》

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 私は、そのCDをかけた……  あぁ…いい声だなぁ…  そうよ……  あなたの声に似てたから  だから…好きになったんだよ  それなのに…それなのに……  涙が…ぽろぽろ零れた……  悲しくて…悲しくて…  どうしようもなく辛かった…  涙も…雨に濡れた体も…  何もかも…  綺麗に洗い流したかった……  シャワーを浴びるため……  バスルームに行くと  シャンプードレッサーの棚に  お揃いの歯ブラシとコップが  残っていた…  そ…そうよね…こんな物まで  持って行けないよね……  あの女が…  気を悪くしちゃうよね……  私は…それを…力いっぱい  ゴミ箱に…叩きつけた…  哀しくて…悔しくて   「…ウッウッ…」  その場に崩れ堕ちた……   …そして…  手首を…切った……  真っ赤な血が手首から……   ……ヒタヒタ……  流れ落ちていく……   あぁ……私……   死んじゃうんだ…  これで…哀しいことも……  辛いことも……忘れられる…  …人ってこんなに簡単に…  死ぬんだ…死ねるんだ…  ぁ…でも…私…  独りぼっちで…死ぬの…?  彼との思い出が……  走馬灯のように流れていく…  あぁ‥も…もう… 一度だけ…  彼に…会い…たい…  会いた…かった…  会い…た…い…よ…  哀しくて…哀しくて…  堪らなくなった……  こ…こんな…こ…と……  するん…じゃ…なか…った…  あぁ…誰か……  意識が…遠く…な…る…  ……助けて……  ……おねがい……    …涙が…   ぽろぽろ…ぽろぽろ流れた…  た.す.け.て‥たす‥け‥て…
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