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「おい、南、テメーこれでも羽織れ。」
間近にファンヒーターを持ってきたソファの前で、腰にいつか持ってきていたタオルを巻いて上半身裸体の副頭。
安田が投げて寄こしたのは、薄汚い毛布だった。
もうケバケバで体にちくちく刺さる不快な感じに南が顔を顰める。
一度羽織ったが、毛布をぐるりと見回しまだマシなところを探す。
凄く何か文句でも言いたそうな表情だ。
「いーから黙って羽織ってろ。」
もたもたしている、南の手から安田は毛布を取ると、後からバサリといかにも乱雑に掛けた。
「…汚ねーし、何か油っけー匂いするし」
ぶつぶつと、頭半分まで掛かった毛布をずるりと下げくんくんと鼻を鳴らしている。
肩のところで止まった毛布のその下に、姿勢のせいで鎖骨のくぼみが見える。
それからチラリと視線を外し、安田はポケットからタバコを取り出す。
バシャリと、雨に降られずぶ濡れの南が倉庫に入ってきたのはつい数分前のこと。
冷てー冷てーと言いながら、自分の目の前で上着を脱ぎ、さらには肌に張り付いたTシャツまでも脱ぎだす始末。
びっしょりと濡れた黒のTシャツを窮屈そうに捲くると、露わになった腰元と、背骨。
その時から、安田は南から視線を外すことが出来なかった。
吸い寄せられるように視線は南の動くほうを追っている。
ヒーターをずるずる引っ張ってソファの側へ持っていき。
温まらないそれに無理やり体を近づけ丸々姿。
それからようやく温風を吐き出すようになったヒーターの前でじっぽりとしたジーンズを脱ぎ始める始末。
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