19人が本棚に入れています
本棚に追加
「あまり飲んだことないから、なにがいいのかわからなくて…」
照れながら言うと、アイスピックの手を止めて零次は器用にカクテルを作ってくれた。
目の前に出されたのは、透き通った赤いカクテル。
一口飲んでみる。
「あ…さっぱりしてておいしい…」
「アセロラと少しのウォッカが入ってるんだよ
オリジナルのカクテルかな」
…………。
気付くとポロポロと涙がこぼれていた。
何気ない会話だけれど、今まで忘れていた普通の会話でもあった。
「私…わたし……会社で嫌がらせさせられてて…
いじめられに会社に行ってるのかな……
男遊びなんてしてないし、でも誰も信じてくれない……
一人暮らしだから、誰も聞いてくれる人いないし…
両親にも話せなくて…」
機械のように口からポロポロと…まるで涙のように言葉がでてくる。
「よく話せたね」
零次はそう言ってくれた。
「わ、私初対面の人にこんなこと話しちゃって…ごめんなさい」
「いいんだよ、心が晴れるなら
カクテルどうする?」
気付いたらアセロラのカクテルは空だった。
最初のコメントを投稿しよう!