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「はぁはぁ…」
あの後何とも言えない気持ちになって走って帰り、家に飛び込んだ。
《ダンッ!!!》
家に着くなり壁を思いっきり殴ってしまった。
「何なんじゃ…わしらは…。わしらがしとることは一体何なんじゃ!!」
怒りと悲しみと寂しさとがぐちゃぐちゃになって胸の中を渦巻いていく。
あの曲は…わしが身を切る思いである人に向けて書いた曲…
ホンマは発表するつもりなんかなかった…けどもしかしたらアイツが聞いてくれるかもしらん…そんな思いを込めて作った曲じゃ…
「何なんじゃ…アーティストって…見た目だけでちやほやされて…笑顔張り付けて…
自分の心を削り取って作った曲までもが量産されて、違法にダウンロードなんかされて…
まるで自分自身をグラム売りじゃ…」
アイツのためだけに書いた曲はいまや全国のCDショップに並んどる。
(はっ…あの曲を皆に見せて売り出した時点でわしも汚い大人か…)
わしの悲痛な心の声は、涙となって溢れ出た…。
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