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とあるマンションの一室。
ひどく殺風景な寝室のベッドに、一人の少女が眠っていた。
見た目は17、8くらい。
長くて綺麗な黒髪、パジャマから出ているスラリと伸びた手足。
顔も整っており、十人見れば十人とも振り返るほどの美少女だ。
部屋には彼女以外、誰もいない。
ふと瞼が震え、少女が目を覚ました。
開いた瞳の色は、吸い込まれる様な綺麗な蒼。
少女は起き上がり、どこかぼんやりとした目つきで、誰かを探すように周りを見回した。
だが、やがて自分以外誰もいないと分かると、視線を天井に向けた。
「……あぁ、夢か」
ひどく、懐かしい夢を見た。
自分と彼が、あの家で暮らしていた頃の。
お互いにふざけあって、喧嘩もして。でも毎日がとても楽しかった。
…あの日までは。
ふと少女――速水優(はやみゆう)は声を上げた。
「……あれ?『かぜの話』ってどんな話だったっけ」
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