葛城林檎

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 ここはどこ? 真っ暗だ……誰もいない。 だって人影は無いのだもの。 でも、変な気配がする。 目を凝らしてみても何も見えない。 月の光が出た。窓からその光が入り込む。 そこには、一部分だけ光を遮る何かがあった。 人型だが、影はない。 ただ月の光を遮るだけ。 【僕の事が見えないのかい? 君は外れか。そうは見えなかったけど。それじゃあ、部屋は与えられない。さようなら。君は友達の器ではなかったみたいだ】 誰もいないところから声が聞こえた。 林檎は強い耳鳴りに激しい頭痛を覚え、一時的に気を失った。 「また来た……ねえ……何か食べ物持ってない?」 「え!? あ……すみません……持ってません」 林檎はパジャマ姿。食べ物など持っている筈もない。 それが分からない程に林檎に話しかけてた人は飢えて疲れきっていた。
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