プロローグ

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プロローグ

「放課後ちょっと校舎裏に来てくれないか?」 長身の金髪の言動も顔もキザっぽい男子生徒――ああ……と、確かハイルとか言ったか? そいつが赤髪の女子生徒――ユキリ(こちらは何度か噂を聞いため確実にこの名前で、というか身長が150cmしかないという特徴を持っているため、そうでなくても覚えていたと思う)に向かって薄笑いを浮かべてそう言った。 「……っ」 ユキリは一瞬顔を悲しげに歪ませ、 「分かったわ」 と顔を下に向けて答えた。 「……忌み児、ね」 その光景を四、五メートルほど離れたところから、頬杖をつきながら眺めて思わずそう呟いていた。 「ふむ」 ようするにアレはお付き合いの申し込みでは無く、決闘の申し込みなんだろう。 しかもユキリは学年首席――つまりは二学年で最強の魔術師だ。 確かハイルもそこそこ強かったはずだけど、実力の差は歴然としている。 とはいえ負けるために決闘なんて申し込む訳も無いし、確かハイルには舎弟――もとい子分が数名いたはずだから……数人がかりで襲うつもりなんだろうな。 「……うわ、卑怯くせえ」 そう素直に思ったが、所詮は他人事――頭をふせて机につけ、見なかった事にする事にした。 さて、今は昼休み。 午後魔術の講座なんて受けても大半が使えないから意味が無いし、放課後まで寝ることにしよう。 俺は”魔術師でも”ある以上、”二つの性格”があるが……どちらにせよ受けても意味が無いものを受けるほど人間が出来ちゃいない。
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