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「……あっ、ふあ」
目を擦り、頭を机から離す。
おでこがヒリヒリする感じがするが(長い時間机突っ伏していたんだから当たり前か)無問題。
周りをキョロキョロと見回し――誰もいない。
まさか、と思って時計を見ると、
「誰か、起こしてくれよな」
とっくに放課後に突入していた。
「ってかグレイ、友達なら起こしてくれよな」
まっ、いないやつに文句を言っても仕方がない。
「さて、帰るとしますか」
――――――――――――――
下駄箱に着き、下履きを取り、
『――分かったわ』
下を向きながらそんな事を言った誰かを思い出した。
「何、思い出してんだ」
俺はお人好しじゃ無いし、ましてや正義の味方なんかじ――
『――神君は、正義の味方なんだよね?』
――もう二度とみることのない笑顔。
「あっ……っ、何、思い、だして、ん、だ……か」
息が詰まる、胸が軋む。
――俺の、罪だ。
ぐっと唇を噛みしめ、胸をおさえ、
『ああ、俺は正義の味方だ!!
なんたって俺は――』
戯言を思い出した。
「――まだ、間に合うか?」
別に未だに自分が正義の味方になれると思っている訳じゃない。
だけど、昔を思い出した以上、見過ごす事は出来ないよな。
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