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「なぁ、知ってたか”忌み児”?
俺はな、テメエが親を殺して生まれた存在の癖に、親の才能を受け継いでるってのが気にくわなかったんだよ」
生を受けた瞬間から親殺し――故に忌み児。
なんて馬鹿らしいのだろうか、と思う。
聞くに、ユキリの母親は出産は命に関わると言われ。
しかし、それでも出産を望み。
文字通り命をかけて子を生もうとした。
そんな強い女性が、我が子を忌み嫌う訳が無いだろう。
例えそれで死んだとしても。
「……っ」
何かを言ったのか、それとも何も言えなかったのか、この距離からでは分からなかった。
ただ、ユキリの肩が震えたのは見えた。
「しかも、だ。
何だテメエは?
多少強いからって、こっちが怪我しねえように手加減なんかしてじゃねえよ!?」
薄笑いは無くなり、急にハイルは怒鳴りつけた。
「ああ……」
つまるところ、それは劣等感か。
くだらないよな。
「……俺一人でやる、お前らは手をだすな」
ハイルはそんなあからさまな嘘をつき、
「一対一だ、それでいいよな?」
馬鹿正直にユキリはそれに僅かに首を縦に振った。
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