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「ああっ…紙忘れちゃった」
学校に着いてから気付いたのは
今日入学式で読む筈だった紙
「今から戻るの…?」
でもあれがなきゃ駄目だし
「仕方、ないかな」
重い足を引きずりながら
校門の方に歩いていくと
ばんっ
誰かに体が当たってしまい
相手は転がってしまった
「いてててて…。」
相手の男の子はお尻を擦りながら立ち上がる
「ごっごめん…大丈夫…?」
「う、うん…平気だよ」
少しだけ上がった顔を見て
不覚にもどきっとした
「キミは大丈夫だっ…」
ボクの顔を見た瞬間
相手は固まってしまった
「ど、どうしたの…?」
どこか痛いのかな
心配しながら
ごめんね…と謝る
「本当にごめんね…?」
「…っああ、大丈夫」
やっと反応してくれた…。
「あ…えっと…。」
何か慌てている様子
━━━━…その時
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
8時30分を知らせるチャイム
「ああっ…入学式!!」
隣にいる相手が急に叫ぶ
やばい、入学式のあいさつ
「もう無理だね…。」
諦めながらそう呟くと
「もしかして、キミ1年生?」
「うん、本当にごめんね…ぶつかっちゃったから、入学式…」
入学式出たかったんだろうな
そう思ったから精一杯の気持ちを込めて謝罪する
「全然平気、サボろうかな…って考えてたし(笑)」
そう言う相手は
いたずらっ子の様に笑う
「本当っ?なら一緒にいよ。」
そう言って相手の手を握る
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