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危なかったね?
あぁ、そらもう命の危険だったさ。
でも、ここでそう俺が答えても俺と華月の“危なかった”対象が違う。
絶対だ。
ほっとした後に、くるのはなぜ苛立ちなのだろう。
俺の額には恐らく青筋がたってるに違いない。
「……わかってないだろう、華月」
「え? 猫、無事だよ? ほら!」
華月は、自分の腕の中の白い猫の首根っこを、わしっとつかんで、俺の目の前にぶらりと宙ぶらりんな猫を見せてみせた。
いつも、華月はこうだ。やっぱり何も分かっちゃいない。
俺の心臓が止まりそうなほど、危なかったことも。
現在進行形で、俺の怒りメーターが急上昇していることも。
「……今、その猫のおかげで、華月が引かれそうになったの」
「え?」
華月は思っても見なかっただろうことを言われ、目を見開いた。
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