1・猫の恩返し

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「……怪我は?」 「どこも痛くないよ」 「なら、いいけど。後で、こってり父さんに説教されろ」 「げ……パパに言うの?」 華月は泣きそうな顔になった。 「当たり前だ。……ていうか、遅刻するぞ」 「あっ! そうだった!」 華月と母さんの説教は、やっぱり父に任せることにしている。 俺の口から言っても、あんまり効果がないのが身にしみてよくわかっているからだ。 父の長い長いありがたい説教を華月にしっかりしてもらおう。 そして、俺は心に誓った。 自分の娘がもし出来たら、こんな甘やかさない。 ……たぶん。  
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