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華月はとりあえず猫を抱えて走り、おかげで両手がふさがったことを理由に、華月の分の鞄を俺が抱え、先を急いだ。
そして、今日も今日とて、近道だ、といいながら華月を先頭に、川原沿いの道を走り抜けていた。
「ていうか! 華月!」
川原沿いの細い砂利道を一列になって走りながら、いっこうに猫を手放そうとしない華月に声をかけた。
「それ、学校まで連れてく気か?」
とたんに、ぴたっと華月が足を止めて、俺はぶつかりそうになりながらも、何とかそれを避ける。
「急に止まるな!」
そんな俺の抗議なんぞ、華月の耳には届いてない。
華月は、そっとその猫を地面に下ろした。
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