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「……とりあえず、君はここに居たまえ。学校が終わったら、君の身の振り方を一緒に考えようじゃないか。おやつも持ってきてやる。しばらく、ここで姫の帰りを待つとよいぞ」
華月は猫に向かって人差し指を突きつけ、得意げにそう言った。
「誰が、姫だ。……て、猫にわかるか!」
「爺や、参るぞ」
言い終わるが早いか、華月は身軽になって、走り出す。
「誰が爺やだ! て、こら! 鞄、自分で持て!」
「おお、遅刻、遅刻ぞよ~」
そういって、俺たちが走り去ったその後姿を、白い猫がじっと眺めて、そして、すっとどこかに姿を消したことなど、俺たちは気がつきもしなかった。
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