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俺は、とりあえず自動販売機で冷たいスポーツドリンクを華月に買い与え、意味を成さない言葉で抗議を続ける華月に何とか飲ませ、一刻も早く帰宅すべく近道を通る決意をした。
決意、というのは、それが近道をするには、かなり決意が必要な道であるからだ。
この近辺で育った子供ならば、『あの道は、夜は危ないから通ってはいけない』と、刷り込まれている。
近道、それは、今朝も二人が登校した道。
猫を置いてきた川原沿いの道のことだ。
その道は、今だ舗装されておらず、外灯もままならない。
人がすれ違うことも困難な細い道。その道の両脇は、大きな桜が立ち並んでいる。
春になれば、花見客も大勢訪れるような美しい光景が見られるのだが、日が落ちればその風景は一変する。
その見事な桜の木の枝が横に広がって、外灯はおろか、月明かりすらも遮ってしまう。
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