1・猫の恩返し

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  「華月、帰ろう」 「ん~……でも~」 華月は諦めきれず、まだ、鞄をあさっている。 どうやって華月をつれて帰ろうかと考えあぐねていた、その時。 強い風が、川原からそこら一帯を包み込んだ。 その風の強さに俺までもが思わず、うわっ、と声を上げて、目を瞑る。 桜の木が揺れて、葉たちの唄が降り注いできた。 なんだったんだ、今の風は。  そう思った、まさにその瞬間。 ─── オマエ モウスグ キエル  
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