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「陽向(ひなた)ー、テストどうだったー? あたしもうダメー!」
「誰だって一緒だよ、そんなの。あたしだって自信ない」
「えー? でも陽向って確か先輩に教えてもらってなかったっけ?」
友人の一言に、陽向と呼ばれた少女の眉間に刻まれたシワがさらに深くなる。
「……まあ、ね」
「いいなぁ、陽向ってば。先輩に気に入ってもらえて」
「嬉しくない! あんなデカい奴に気に入られても!」
「えー、でも先輩の気持ち分かるなー。陽向、可愛いもん」
そう言って頭を撫でて来る友人に、少女は「ちょっと、やめてよー」と抗議の声を上げる。が、それだけで、後は何も言わないし何もしない。諦めているのか、同性だからか、それ以上彼女は頬を膨らませたまま何も言わなかった。
彼女の名前は榊原 陽向(さかきばら ひなた)。高校一年生だ。彼女には現在二つの悩みがある。
一つは、140cmというこの身長。
もう一つは……────
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