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「何処かしら、ここ…」
アリスは声に出して呟いてみた。
家へ帰る途中だったのに…
今は公園の前にいる。
それもこんな夜中には入れないような大きな大きな公園だ。
「あら。この標識…街の中にある公園だわ。」
何故こんなところにいるのかはわからない。
顔を上げたらここにいたのだ。
「ここから家までどのくらいだったかしら……?まさか10キロも離れていないわよね?」
アリスはうーん。と人差し指を唇へ押し当てた。
実を言うとアリスは1キロが大体どのくらいなのか良くわかっていない。
「そうだとしたら大変だわ。10キロも離れていたら帰れないもの。…多分ね。」
呟いて辺りを見回す。
あいにくタクシーもないようだ。
「例え1キロしか離れていなかったとしてもよ?私この公園から歩いて帰ったことないわ。いつも車だもの…」
アリスは困った様子で足元の小石を蹴った。
小石はころころ転がって草むらへ消える。
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