月夜森の童話

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すると門が音を立ててゆっくりと開いた。 アリスは驚いて数歩後ずさる。 するとそこに目の真っ赤な、毛の真っ白なウサギが一匹座っていて、小首をちょんと傾げた。 ふわふわしている外見がとても愛くるしい。 「まあ!可愛らしい!」 アリスはそのウサギを撫でようと、そっと近づいて行く。 しかし触れるか触れないかのところでウサギはパッと逃げ出してしまった。 「あ!待って!ウサギさん!」 アリスは慌ててウサギの後を追いかけた。 しかし小さな白ウサギは公園の奥へ続く道を走りぬけ、森の中へ消えてしまった。 アリスもつられて公園の中を走っていく。 しかしついにウサギを見つけることはできなかった。 「可愛らしいウサギだったのに…」 ぽつんと呟いた頃にはもう出口がどこにあるのか解らない。 辺りを見回しても道しるべは一つも見当たらなかった。 アリスはため息をつくと、元来た道を引き返そうと踵を返す。 するとそこには道が無く、代わりに川が流れていた。
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