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「私、いつの間に川を渡ったのかしら?」
だけど川は海へ続いていたりするもので、この川を辿れば出口があるかもしれない。と考えたアリスは川の流れへ沿って歩き出した。
蒼い月が照らす公園は静かで、ほんのりと明るかった。
「あら?」
気づけば川は森の中へと続いている。
アリスはエプロンを握り締めると森の中へ一歩、足を踏み入れた。
森の中は月の光があまり届かずに薄暗い。
しかしところどころ葉と葉の合間から零れ落ちる光が道を照らしていた。
「それでもやっぱり夜の森って…不気味だわ。でもそうね。幻想的な不気味なの。決して怖い不気味じゃないんだわ」
誰に言うでもなく、独り言を呟きながらアリスは歩き続けた。
川は段々細く、流れも弱くなっていく…。
これでは少なくとも海にはつながっていない。
「この川は消えてしまうのかしら?そうしたら私はどうやって帰ればいいの?」
アリスは呟いて立ち止まった。
暗い森の中に一人ぼっちだ。
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