10人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
肩までの髪。ブラウスとスカート。服から出た細く長い手足。
僕はジャングルジムの天辺の月の輝きの中に、その少女を見つけた。
「おい。あれ」
慎也と義人の声がする。
少女は、ジャングルジムを降りると真っすぐに僕らの方へ歩いて来た。
「こんばんは」
公園の薄暗い外灯に照らされた少女の顔は、透き通るかのように白かった。
「こ、こんばんは」
僕らは慌てて、ばらばらに声を出す。
「いい、お月夜ね」
少女はにっこりと笑って言った。
「あ、ああ」
僕が頷く。
「あなたたち、何しているの?」
少女は両腕を後ろで組み、頭を傾げた。
「…あ、僕ら、塾の帰りなんだ」
「君こそ、こんな時間に何してるんだ?」
智史がいぶかしげに言う。
「私は、月子。月の子供よ」
最初のコメントを投稿しよう!