月子

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 肩までの髪。ブラウスとスカート。服から出た細く長い手足。  僕はジャングルジムの天辺の月の輝きの中に、その少女を見つけた。 「おい。あれ」  慎也と義人の声がする。  少女は、ジャングルジムを降りると真っすぐに僕らの方へ歩いて来た。 「こんばんは」  公園の薄暗い外灯に照らされた少女の顔は、透き通るかのように白かった。 「こ、こんばんは」  僕らは慌てて、ばらばらに声を出す。 「いい、お月夜ね」  少女はにっこりと笑って言った。 「あ、ああ」  僕が頷く。 「あなたたち、何しているの?」  少女は両腕を後ろで組み、頭を傾げた。 「…あ、僕ら、塾の帰りなんだ」 「君こそ、こんな時間に何してるんだ?」  智史がいぶかしげに言う。 「私は、月子。月の子供よ」
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