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僕は鏡を見て、うがいをしていた口の中の水をぶちまけた。
みんなそうなると思う。なんせ、自分の顔がモアイになっていたんだから。
「ぶふぉっ!!」
ひとしきりむせて、そしてもう一度鏡を覗く。
僕の顔は、自分で言うのも何だが結構モテる類に入ってるんだ。
女の子とかおばさんから、『かわいいね~』なんてちやほやされてたんだ。
決して、こんなゴツゴツした顔じゃなかった。
鏡のモアイと見つめ合うという、何ともシュールな時間は過ぎた。
そんなとき、
「目覚めましたね?」
という甲高い声が後ろから聞こえてきた。
驚き、テンパってなお振り向く僕ことモアイ。
すると、後ろにはさらに目を見張る光景が広がっていた。
こちらを見て、嬉しそうに笑っているちっちゃいモアイ。ラグビーボールくらい…かな?
ラグビーモアイは続けた。
「あなたは、『モアイバトル』の参加権を得ました。早速向かいましょう!」
どこにだ?
この素晴らしい顔を引っさげて、僕は一体どこへ行くというんだ?
不思議そうな顔をしていたのがわかったのだろう、ラグビーモアイは何かに気付いたような顔をした。
成分まではリアルに石ではなく、柔らかい顔がそのままこの形になったようだ。
表情は作れる。
「おぉ、これは失礼。私はアナタの案内役、『ミニモイ』です」
ラグビーモアイ改めミニモイはペコリと頭を下げた。
一瞬だけかわいいと思ったが、裸にふんどしはいただけないなぁ。
「? 他に何か、お困りですか?」
「いや…何コレ?」
素直に質問してみた。まず、どんないきさつで僕がモアイになってしまったのか?
ミニモイは何者なのか?
知らないことが多すぎた。
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