夜露死苦

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俺は兄ちゃんにバイクに乗せられて約十分。 今日から新しく住むアパートに着いた。アパート名は何か普通の『しもつきアパート』。 俺と兄ちゃんの部屋は二階の2ーCだ。 なぜ俺と兄ちゃんが二人だけだというと、お袋は俺が三歳の時に病気で亡くなりオヤジは家を出ていき今でも連絡がとれな状況だから兄ちゃんは高校に行かず働き、俺と兄ちゃんの生活費を必死に稼いだ。 兄ちゃんには迷惑ばかりかけている俺は高校に行けなかった兄ちゃんの代わりに松山高校で一番、つまり頭になろうと思っている。 いつも優しく接してくれる大切な兄ちゃんへの恩返しだと俺は思った。 部屋のドアを開けた俺は兄ちゃんと目を輝かせた。 決してみんなにとっては広くはないと思うが俺と兄ちゃんにとっては広く感じる程の広さだった。 その夜は兄ちゃんの得意なカレーを食べながら明日に向けていろいろ考えていた。 「裕也、兄ちゃん分まで楽しんでこいよ!」「うん!」 俺は絶対に高校生活を兄ちゃんの分まで楽しんでやろうと改めて思った。 「兄ちゃん、明日から早く起きんといかんけん寝るばぃ」 「わかった。何時に起きる?」 「いや、明日からは自分で起きるけん起こさんで良かばぃ」 「なら早く寝ろよ。お休み。」 俺は布団に入った瞬間寝てしまった。 「まったく気いつかいやがって・・・裕也も成長してきたな。」そう兄ちゃんの一言がかすかに聞こえた。
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