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ささやかながらも暖かく、和やかな空間であったミニチュア自然公園は、ある日を境に姿を消した。
代わりに、そこは高層ビルが立ち並ぶ場所となっている。
安らぎなど、欠片ほども感じられずに、
まるで私の忙しい日常を浮き彫りにするかの様に、
息苦しい程のビル群が町を支配してしまった。
スケッチブックの少女もミニチュア自然公園と同時に居なくなってしまった。
あれから再び休日を取り、高層ビル群を訪れたが彼女の姿は見当たらなかった。
彼女が描けなくなると言っていたのはこの事だったのだろう。
彼女の夢とは裏腹に、公園は取り壊されてしまった。
すると当然、彼女は絵が描けなくなる。
少女は「公園を描きたい」と言っていたが、夢は未来永劫叶わなくなってしまったのだ。
少女が居なくなり、私の心もいつしか空虚なものになりかけていた。
彼女がいなくなった事で、夢が叶わないと心の底から認めてしまったからだった。
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