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そこには高層ビルの隙間に設けられた、小さな花壇があった。
窮屈な場所にも関わらず、色とりどりの花が鮮やかな姿を見せていた。
その花々は切なさを感じさせるものであり、以前の花畑を髣髴させる。
そして、それを見た途端に、私の夢がまだ生き残っていると感じたのだ。
きっとそれは、花壇と同じ程に小さくなってしまっているのだろう。
けれど、主が思い出すまで、ずっとずっと待ち続けてくれるのだろうか。
「私のやってる仕事でどれだけの人が喜んでくれてるのかしら」
ふと花壇の裏側から声が聞こえてきた。
そこには、以前の彼女とは姿も声も違う、だがしかし、同様の純粋さを感じさせる少女が居た。
「少なくてもいいのよ。
私の仕事で救われてる人が一人でもいたとしたら……」
何もかも、スケッチブックの少女と雰囲気の似た少女。
只違うのは、彼女の微笑みが大人びたものである事だ。
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