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「さてと、」
一度大きく伸びをすると、
「忙しくなったら呼んで。」
そう言って木谷くんはウォークイン―簡単に言うと大きな冷蔵庫だ―に入っていった。
彼はウォークインの品出しが好きなのか、よくやっている。
あそこ寒いのによくやるわ、とか思いつつ、適当に返事を返した。
それとほぼ同時に、立ち読み客が、満足したのかそれとも時間を気にしてか、そそくさと出て行った。
店内に緩いチャイムが響く。
私はあーあ、と自分だけに聞こえるくらいの溜息を吐く。
ここには週4で入っている。
それなりに人はいるのに、あんまり他の人と入ってない気がする。
ま、全然構わないけど。
ウォークインの扉を見つめたままぼーっとそんなことを考えていると、自動ドアが開く。
また緩いチャイムが店内に響いた。
「おはよう。」
夜勤の竹川さんが手をちょっと挙げて、足早に前を通り過ぎた。
あ、もうそんな時間かぁと声に出して言ってみた。が、時計を見ると実際交代までまだ30分もある。
なんとなく残念な気持ちになった。
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