学校

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 ようやく学校についた。  今は8:25。  思ったより早く着いてしまった。  本を読んで時間を潰そう。『草食鳥の一生』というハードカバーの厚い本だ。  我ながら、最高の買い物をしたと思っている。  これなら論文にも応用出来るし、何より面白い。  やはり草食鳥は最高だ。        いつもは8時50分きっかりに来るはずの担任の大熊先生が今日だけは2分遅れて入って来た。  ん?  何か焦っているような素振りをしている。  しかも小声で喋りだした。 『今、校内に、暴士がいるんだ。 《生徒達に気づかせるな》と言われているが、いざというときの為に……な』  そこまで言い終わらない内に、教室に銃声が響いた。  それと同時に、大熊先生が教卓に倒れた。  銃声のした方を見ると、掛軸……というか、何処の教室にもあるような学年目標のようなものだった。  そう。それ――銃口は、小型写真機の下に付けられていて、受像機で狙いをさだめることが出来るようになっていた。  先生達が生徒に話さないように監視していたのだった。  そう、暴士が。
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