第5話

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* * * * * * あの日から、何年経っただろうか。 あの日、学年主任のどの先生に聞いても、 華神 沙羅 と言う少女の名は、無かった。 どれだけ、捜しても…。 沙羅 は、居なかった。 「何で、居ないんだよ…」 君だけを、想っているのに。 今でも、君を想ってるのに。 「バカ野郎…ッ」 俺と逢ったのは、幻だったのかよ…。 俺は、お前と、確かに逢ったんだ。 話したんだ、笑い逢ったんだ。 でも…そんな事、証明してくれる人なんて、居ない。 何で…、 「何処に行ったんだよ…ッ」 あの日、さよならだって…。 次の日も、次の日も、俺は、お前を待ち続けたのに…。 それなのに…ッ。 何で、居ないんだよ。 何で、来ないんだよ。 「 沙羅 」 俺と出逢ったお前は、何だったんだよ。 「逢いたい、今すぐにでも」 伝えたい想いが、あります。 まだ、伝え切れていない、言葉が、あるんです。 「君に、逢いたい」 逢えるよ 君の声が、 沙羅 の声が聞こえた。 「翔さーん!!」 優也の声が聞こえ、 沙羅 の声は、かき消された。 「ッ、何だよ」 高校も卒業して、俺はプロになった。 宮さんとまた、同じチームに。 嬉しいのに、ココロにポッカリと穴が空いたように…。 素直に、嬉しい、と…想えない。 「手紙、渡して欲しいって頼まれたんッスよ!怒んないで下さい!!」 バッと手紙を差し出された。 シンプルで、宛先も書かれていない手紙。 「誰が?」 俺は優也を睨む。 「すっげー綺麗な女の人ッス!名前は、聞いてないッスけど、綺麗な銀の髪だったなぁ」 銀の髪。 ドクン... まさか…。 俺は、恐る恐る封筒を開け、手紙を読む。 ー 小坂翔様へ   突然のお手紙、申し訳御座いません。   どうしてもこの手紙を貴男に送りたくて…。   突然なのですが、明日の10月27日丁度日にちが変わる時に、○×公園に来て下さい。   私は、ずっと待っています。   それでは  ー その綴られていた文字は、とても綺麗だった。 10月27日…。 それは、彼女の生まれた日…。 そう彼女は、教えてくれた。 何で、知ってるんだ…? 彼女…なのか…? 「また、君に逢えるのですか…?」 淡い、淡い期待を、持った。
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