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* * * * * *
あの日から、何年経っただろうか。
あの日、学年主任のどの先生に聞いても、 華神 沙羅 と言う少女の名は、無かった。
どれだけ、捜しても…。
沙羅 は、居なかった。
「何で、居ないんだよ…」
君だけを、想っているのに。
今でも、君を想ってるのに。
「バカ野郎…ッ」
俺と逢ったのは、幻だったのかよ…。
俺は、お前と、確かに逢ったんだ。
話したんだ、笑い逢ったんだ。
でも…そんな事、証明してくれる人なんて、居ない。
何で…、
「何処に行ったんだよ…ッ」
あの日、さよならだって…。
次の日も、次の日も、俺は、お前を待ち続けたのに…。
それなのに…ッ。
何で、居ないんだよ。
何で、来ないんだよ。
「 沙羅 」
俺と出逢ったお前は、何だったんだよ。
「逢いたい、今すぐにでも」
伝えたい想いが、あります。
まだ、伝え切れていない、言葉が、あるんです。
「君に、逢いたい」
逢えるよ
君の声が、 沙羅 の声が聞こえた。
「翔さーん!!」
優也の声が聞こえ、 沙羅 の声は、かき消された。
「ッ、何だよ」
高校も卒業して、俺はプロになった。
宮さんとまた、同じチームに。
嬉しいのに、ココロにポッカリと穴が空いたように…。
素直に、嬉しい、と…想えない。
「手紙、渡して欲しいって頼まれたんッスよ!怒んないで下さい!!」
バッと手紙を差し出された。
シンプルで、宛先も書かれていない手紙。
「誰が?」
俺は優也を睨む。
「すっげー綺麗な女の人ッス!名前は、聞いてないッスけど、綺麗な銀の髪だったなぁ」
銀の髪。
ドクン...
まさか…。
俺は、恐る恐る封筒を開け、手紙を読む。
ー 小坂翔様へ
突然のお手紙、申し訳御座いません。
どうしてもこの手紙を貴男に送りたくて…。
突然なのですが、明日の10月27日丁度日にちが変わる時に、○×公園に来て下さい。
私は、ずっと待っています。
それでは ー
その綴られていた文字は、とても綺麗だった。
10月27日…。
それは、彼女の生まれた日…。
そう彼女は、教えてくれた。
何で、知ってるんだ…?
彼女…なのか…?
「また、君に逢えるのですか…?」
淡い、淡い期待を、持った。
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