第5話

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* * * * * * 26日の真夜中、後1分で27日になる。 俺は、指定された場所に居た。 誰も居ないこの、公園。 高台の上にある公園だから、見晴らしが良い。 「後…10秒」 俺は、時計を見て、そう呟いた。 存在なんて、しないはずの彼女が…。 此処に来るという、保証はないし、それに彼女を装ってくる女かも知れないのに…。 いや、女という保証もない。 それなのに、俺は、此処に来た。 何故か、彼女に逢えると、そう確信をして。 「こんばんわ。こんな時間に、どうしたんですか?」 声が突然、聞こえた。 俺は、振り返らず前を見据えた。 「人を、待って居るんです」 大切な人を…。 「そうなんですか。偶然ですね。私も人を待って居るんですよ」 その女の人の声を聞き、俺は初めて、彼女を見た。 「ッ!?」 その女の人は、彼女にそっくりだった。 「此処、私が大好きな場所なんです。此処だと、良く街が見えるから」 ただの他人のそら似…? でも、その声も、その髪も…、その瞳も…。 「そして、一番大切な人が、この街にいるんです」 何もかも…そっくりなんだ…。 「 沙羅 ?」 君の名前を呟いた。 「…やっと、気付いた。気付いて貰えないと想ったよ。翔」 沙羅 は、ゆっくりと振り返る。 俺は、思わず彼女を抱き締めた。 「やっと…ッ逢えた!」 沙羅 の腕が俺の背中に回る。 「逢いたかった、ずっとッ」 溢れる想い。 逢いたかった、人。 「私も、逢いたかった。翔に。今日、この日だけ、神様が許してくれたの」 沙羅 は、俺の耳元で囁いた。 「私、翔と出逢った時には、もう…死んでいたの」 彼女から放たれた言葉に、一瞬戸惑った。 分かっていた事なのに…。 身体が震える…。 「聴いて、翔。私の、過去を」 それは、君の願いだった。 俺は、君の言葉を素直に、受け入れた。 「私ね、……………」
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