第2話

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「…おかしな事を言うね、君は。私は、消えないよ。まだ、消えない…」 苦しそうに笑う彼女。 何で、そんなに苦しそうなんだ…。 「何で、そんなにッ」 続きの言葉を紡ごうとしたら、唇に彼女の人差し指が当たる。 彼女を見るとその人差し指を自分の唇に当てる。 「内緒」 そう口ずさんで。 そして、彼女はスクッと立ち上がった。 「お、おい!ちょっと!!」 そのまま彼女は、俺が止めようとする言葉を聞かず、校舎内に入っていった。 それが、俺と彼女の出会い。 美しすぎる彼女は、その身体では支えきれない程の重いモノを背負っていた。 それが分かるのは、もう随分と後になってしまう…。 今の俺には、分からなかった。 彼女がどうして、あんな顔で笑っていたのか…。 * * * * * * 初めてだった。 あんな事を言われたのは…。 何故、彼には分かってしまったのだろう…。 『無理に、笑ってんじゃないのか?』 無理なんて、してないよ…。 有難う、心配してくれて。 でも、大丈夫だから。 『泣きそうな顔で、笑ってる』 泣けないの。 だから、笑ってるの。 『今すぐ、消えそうなんだ』 そんな事、あり得ないよ。 私は空気じゃないから。 今すぐ、消える事は無い。 有難う、高瀬君。 私の存在に気付いてくれて。 本当に、有難う。 私、嬉しかったよ。 君に会えて…。 「有難う、小坂君」 私は、詩を紡いだ。 もし、届くのなら、彼に…。 有難うと、届くのなら…。 この想いを、乗せて…。 風よ…、空よ…、雲よ…。 私の声を…、届けて下さい…。
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