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木々が深緑の葉を盛大に茂らせている、六月の下旬。
最近、梅雨入りしたばかりのこの地方は、連日暗い空模様で、時折青空が覗く。
良くて霧雨、悪いと土砂降り。
そんな感じだった。
「・・・肌寒いな。全く、もうすぐ七月だっていうのにどうしてこんなに寒いんだよ・・・。」
「さぁな。俺はあんま地理は勉強してねぇから、気候とかそういうのはさっぱりだ。」
「お前等・・・邪魔なんだけど・・・。」
あまり広いとは言えない空間に二人の人間が寝転がり、それを一人の人間が見下ろしていた。
「良いじゃない。昼休みなんだし。ゆきは硬すぎるんだよ。」
ゆきと呼ばれたのは少年で、本名は高岡雪路(たかおかゆきみち)。
背が普通の人よりも高く、筋肉質で第一印象は恐い人。
「お前等はだらけ過ぎなんだよ。隆弥、それから双木。努力は決して裏切らないんだ!」
寝転がっていたうちの一人は、相楽隆弥(さがらたかや)。
そしてもう一人は草壁双木(くさかべなみき)。
二人共身長は全国平均程で、双木の方が体力があることを除けば二人共、似た者同士だった。
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