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やがて駅に着いたが、二人は一言も口を聞かずに黙々と電車に乗り込んだ。
座席に座ってからも二人は会話をすることなく携帯を弄り続けていた。
間もなくして目的の駅に到着した二人は電車を降りていつもの通学路を歩き始めた。
その時、唐突に双木が口を開いた。
「いつまでもこの道はただの通学路であり続けてくれると信じていたんだけどな。」
双木が道路脇に点在する飲食店や雑貨屋に視線を送りながら道を進んだ。
「そう・・・ですね。」
将房も同じような気持ちになり、いつもと同じ道を歩いているはずなのに、そうではない気がした。
二人は再び口を閉ざして、歩き続けた。
やがて白峰高校に到着した。
そこは、すでに双木達の良く知る場所では無くなっていた。
校門には関係者以外立入禁止と書かれた、看板が建てられ、常に何人かの監視が外部からの侵入を阻んでいた。
「入れてくれますよね?」
「分からん・・・とにかく行ってみないことには・・・。」
双木達がびくびくしながら校門に近付いていった。
「止まりなさい。今は白峰高校の生徒以外の立ち入りを禁止している。帰りなさい。」
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