始まった凶行

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その後も世間話を少々していたが、他の部員が来る気配が無かったため、部活を始めることにした。 「なんか・・・人が全然いないんだけど・・・。」 その場にいたのは全体の三分一ほどしかいなかった。 「・・・いいよ、俺達だけでも練習はできるし。始めようぜ!」 「あぁそうだな!」 部活はいつも通り、賑やかに進んで行った。 その間だけ、双木達は辛い現実を忘れて、‘今’を楽しんでいた。 部活が終わると、そそくさと何人かの部員が帰って行った。 結局射場に残っているのは、いつもの三人と同じく二年生の高梁万黎(たかはし ばんり)と佐倉威託(さくら いたく)。 そして一年生の将房と沙冬直志(さとう なおし)だけだった。 「明日から始まるんですね・・・。」 直志が暗い感じで言った。 「もう、やるしかないんだ・・・できる限り戦おう。俺は皆に人を殺してほしいとも死んでほしいとも思わない。最小限の犠牲だけで次の試合に進めるようにしよう。」 雪路が淡々と述べると、その場の全員が同じ気持ちになった。 「必ず生き残ろう。」
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