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「た・・・ただいま。」
かつて見たことの無い程不健康な顔をしていた母に双木は息を飲んだ。
「あら、お帰り。もう少しで朝ごはんが出来るから、ちょっと待ってでね。」
そう言ってまた双木に背を向けた。
双木が部屋に戻り、着替えを済ませて居間に戻ると、テーブルに蓋が閉じたどんぶりとはしが置かれていた。
双木が蓋を開けて中を確認すると、それはカツ丼だった。
「朝からずいぶんハードなご飯だね。」
双木が席に座りながら母に微笑むと、苦笑した母は元気にカツ丼を食べる双木の向かいの席に座った。
「双木・・・。」
「ん?」
「怪我してもいいから・・・だから、ちゃんと帰ってきなさいよ。」
「・・・うん。」
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