89人が本棚に入れています
本棚に追加
カツ丼を食べ終えた双木は、部屋のタンスから袴を取り出して鞄にしまった。
早めに学校に行って準備を済ませておこうと思った双木は、母に挨拶をしてから家を出た。
駅への道で、友達と楽しそうに話しながら歩いている他校の生徒や、犬の散歩をするおばさん、段ボールで暮らすホームレスの姿を見て双木は憤りを感じずにはいられなかった。
何故、自分達だけがこんな目に会うんだ。
周りの普通が今の双木には耐えられなかった。
駅に着き、電車が来るまでまだ時間があることを確認した双木は売店で缶コーヒーを買った。
実は双木は缶コーヒーが大好きで、新商品が出る度に購入している。
空いているベンチに座って無糖のコーヒーを飲み、眠気を完全に吹き飛ばした。
ホームで電車を待っていると将房がやってきた。
軽く挨拶を交わした二人の表情は暗かった。
「先輩・・・。」
「どうした?」
将房は言いにくそうに言葉を続けた。
最初のコメントを投稿しよう!